そのことに初めて気づいたのは、去年の初冬の頃だったと思う。 よく晴れた日の夕暮れ、外出先から自宅へ帰る途中、自宅の手前の林にさしかかると、木の上から、ぱちん、ぱちん、と音がするのだ。 ほとんど風はなかったと思う。 なんだろう、その頃近所をうろついていたはぐれ猿か、あるいはカラスか、やや気持ち悪く思いながら見上げると、その音は一つところからではなく、木の上のあちこちから聞こえてくるのだった。 しばらく見上げていると、何かが落ちてきて、地面に当たって、かつん、と音を立てた。 大きな豆のさやだった。 フジのさやが木の上ではじけてパチンと音を立て、落ちてきて乾いた音を立てていたのだった。 もう少しよく見ると、さやの周りには薄っぺらい碁石のような、おはじきのような、フジのタネが転がっていた。 冬の乾いた空気の中で、豆がはじけるのだ。 こういうものを見つけると、田舎に引っ越してきて良かったと思うのだ。